子宮腺筋症

症状

  • 月経痛
  • 下腹痛
  • 過多月経→貧血

治療法

子宮内膜症と同様に子宮腺筋症はかかった患者さん全員に治療が必要というわけではありません。痛みなどの生活に支障がでるような自覚症状がなく、不妊治療を希望しない場合などは必ずしも治療の対象にはなりません。治療法は、病気の進行程度や自覚症状、年齢、不妊といった患者さん一人一人の状況にあわせて選択されます。

手術療法

手術には、妊娠できる可能性が残されるが再発の可能性もある保存手術と、子宮と卵巣すべてを取り除き妊娠は不可能となる根治手術とがあります。ただし、逆に手術によって癒着や不妊を強めることがありますので、将来の妊娠希望の有無、再発の治療かどうか、他の療法の効果などと患者さんの希望を尊重し決められます。

  • 腹腔鏡手術腹腔鏡を使ってお腹を開けずに子宮、卵巣、もしくは病巣を取り出したり癒着の剥離をします。腹腔鏡検査と同じように2~3ヶ所の小さな孔からカメラなどの器具を挿入し手術する方法で、開腹手術に比べ患者さんの負担が少なく回復が早いのが特徴です。
  • 開腹手術子宮、卵巣、もしくは病巣のみ摘出します。患部が広範囲にわたっている場合や組織の癒着がひどい場合などに選択されます。

薬物療法(ホルモン療法)

子宮腺筋症は女性ホルモンによって進行します。ホルモン療法は女性ホルモンをコントロールすることによって進行を防いだり症状を改善します。

ホルモン剤によって、子宮腺筋症組織の増殖を防ぐ方法です。月経を止め閉経と同じような状態にして、病気の進行や炎症を抑える「GnRHa製剤」や「ダナゾール」などはよい薬ですが、対症療法に比較すると費用がかかります。また、女性ホルモンが低下することに伴う副作用もあるため、最長でも6ヶ月しか使用できません。そのため最近は、子宮腺筋症の症状も改善する、低用量ピルを使用することが多くなりました。
低用量ピルは避妊のために使われる薬ですが、黄体ホルモンの作用により子宮内膜の増殖を抑制します。GnRHa療法のような女性ホルモンの低下に伴う副作用は少ないため、長期間使用できます。
最近、低用量ピルのエストロゲン成分をのぞいた、より副作用の少ないジェノゲスト(黄体ホルモン)治療が直接病変を増殖抑制し、GnRHa療法と同様の効果で長期治療が可能になりました。

  • 低用量ピル(内服薬)排卵を抑えて、周期的な月経を維持したまま子宮腺筋症組織の増殖や痛みを抑えます。低容量なので副作用が少なく長期的な使用が可能です。血栓症が0.02%起こる可能性があります。
  • 黄体ホルモン(内服薬)排卵を抑えて、擬似的に閉経の状態を作り子宮腺筋症組織の増殖や痛みを抑えます。低用量ピルのエストロゲン成分をのぞいた、より副作用の少ないのため治療が直接病変を増殖抑制し長期治療が可能です。
  • GnRHa製剤(注射薬)排卵を抑えて、擬似的に閉経の状態を作り子宮腺筋症組織の増殖や痛みを抑えます。女性ホルモンが低下することに伴う、更年期障害に似た症状や骨粗しょう症の副作用もあるため、最長でも6ヶ月しか使用できません。
  • GnRH製剤(内服薬)GnRHa製剤と同様の効果・副作用で、最長でも6ヶ月しか使用できません。GnRHa製剤との違いは内服薬であること、投薬頻度の差などがあります。

対症治療

鎮痛剤、鎮痙薬や精神安定剤、漢方薬などを併用し痛みなどの各症状を和らげるのを目的とした療法。しかし、これらは子宮腺筋症の進行自体を防ぐものではありません。